ぶらり京都・秋物語 |
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昔ながらの花町の風情を醸し出す「祇園」の街並と、鰻の寝床のように東西に延びた錦市場を散策。 | ||||||||||||||||
白川の流れにのってどこからか三味線の音色でも聞こえてきそうな秋の「祇園」。そして、京の台所といえば「錦市場」を思い浮かべることでしょう。それぞれ京都らしい趣のある場所を歩いてみました。 | ||||||||||||||||
祇園は江戸時代初期に八坂神社の門前町として発達 |
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「祇園」と呼ばれる地域は江戸時代初期に八坂神社の門前町として発達した町で、参詣客に白湯や煎茶を供した水茶屋が始まりといわれています。そして、料理や酒を出す店が次第にあらわれそれに合わせて舞や三味線などの芸のできる芸妓・舞妓さんがあらわれたそうです。 現在、祇園と呼ばれている地域は、八坂神社の付近、四条通と花見小路通を中心に、北は新橋通、西は川端通、南は建仁寺付近までをいいます。祇園繁華街を北に進むと、夜の町特有のネオン街がつづきます。 しばらく歩いているとあたりの様子はがらりと変わり、落ち着いた風情の御茶屋が続きます。その先に朱塗りの灯篭と橋が見えてきました。それが巽橋です。 柳が影をおとす白川にかかる橋で、舞妓さんが立てばそのまま映画のシーンに出てきそうな情緒ある橋です。橋を渡ってすぐ目の前に、地元の人たちの信仰を集めている「辰巳大明神」の祠があります。この辺は重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、自動販売機もなければ、ネオンや照明なども規制されています。日没後、白川南通から新橋通へ抜ける道を歩くと、提灯の橙色の柔らかな光が薄暮の街並に、昔ながらの花街の風情を醸し出しています。白川の流れにのってどこからか三味線の音色が聞こえてきそうです。 |
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京都特有の食材が手に入ると、地元の人をはじめ観光客にも人気 |
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「京の台所」と聞いて、ほどんとの人が錦小路通にある「錦市場」を思い浮かべることでしょう。この錦小路通の東端に錦天満宮が鎮座しています。錦天満宮の東側、ちょうど新京極通を寺町通に挟まれて小さな石の鳥居が建っています。この鳥居は、鳥居の上に横に渡された石の端が隣のお店にくいこんでいます。お店から見ると、石が壁から突き出しているのがよくわかります。京都でもこのような一風変わった鳥居は錦天満宮だけだそうです。 錦天満宮から東西に延びる錦市場は、京都市のほぼ中心に位置し、東は寺町通から西は高倉通まで、約390mの間に130軒くらいの小さな店が並んでいます。室町時代の中頃、現在の錦市場の西の端あたりに魚の市場ができていたという記録があります。野菜も市に加わり、徐々に現在の市場らしい形になっていったそうです。本格的に京都の人々の胃袋をあずかる通りとして賑わいを見せるのは、江戸時代の中頃です。こうして、長い歴史を経た現在も、昔と変わらず京都で生鮮食品といえば「錦」。京都特有の食材が手に入ると、地元の人をはじめ観光客にも親しまれています。寺町通から錦市場を歩いていて気がつくのは、鮮魚を扱う店が多いことです。早朝から旅館や料理屋さん向けの魚介類で賑わいます。昼間はお昼を過ぎたあたりから、一般家庭向けに商品ラインナップが変わります。お惣菜のお店も多く、錦市場の楽しみの一つです。 市場半ばまで歩くと、多くのお客さんで溢れている店が見えてきました。錦といえばこの店というほど有名な京野菜の「かね松」です。旬の野菜はもちろん、他の店では出回っていない季節の野菜も手に入ります。その隣は、目移りするほどたくさんの漬物が並ぶ「うちだ」です。京都の人はサラダ感覚でよく食べるそうです。京都いえばお麩。見た目も鮮やかな生麩が並ぶのは「麩嘉」。ここの麩饅頭はおすすめです。店をひやかしながら歩いていると、あっという間に市場の西の端へ。ここまで来ると誰もが買い物袋の2つや3つ手に下げていることでしょう。 |
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